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2019年 年始挨拶
新年あけましておめでとうございます。
昨年中は弊社へ多大なるご支援を賜り誠にありがとうございました。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。新年を迎えるに当たり、弊社の抱負について述べさせていただきたく存じます。
昨年から続く米中貿易戦争やEU加盟国の政治不安など、世界経済は大きく揺らいでおり、年末には環太平洋連携協定(TPP11)が発効するなど、2019年も激動の一年になると推測されます。農業ではここ数年は天候リスクがクローズアップされることが多かったですが、世界各国において「自国ファースト」視点が次々台頭し、政治・経済リスクがより大きなものになってきていると感じます。農産物の取引についても、もちろん「経済の一部」であることを認識した上で、この激動の時代にどう対応していくかをしっかり考慮していく必要があります。その上で、特に本年は非常に重要な年になっていくでしょう。
日本農業においては、経営的に行き詰まる農業者が多くなってきつつあるように感じます。既存の農業経営がいわゆる「ガラパゴス化」しつつあり、そこから脱却できていないことが要因です。農業経営に関する考え方が固定化して、激しい時代変化への対応を受け入れることができない、すなわち、柔軟性が欠如していることが大きな要因ではないでしょうか。
これまでの日本農業を変えていく上で、既存の固定概念を破壊しそして新しい価値を創造する「破壊的イノベーション」が必要となってきています。我々農業者において、これまでの「プロダクトアウト」ではなく「ユーザーイン」の目線がより大切になると考えます。
昨年6月より、私は日本屈指の実需要者仕入組合の顧問に就任させていただいております。より良い農産物の仕入れを検討していく中で、加盟する実需要者の皆様とともに勉強させていただいており、その中で、生産者、加工業者、実需者それぞれの目線に立たせていただくことで、改めて深く考えさせられることが多くありました。
また、新しい地球規模の課題も大きくなってきました。生産・流通段階で環境に負荷をかけない商品の提供や、日本でも年間約620万トンもの食品廃棄についても可及的速やかに検討していく必要があります。次世代に向けて、これらの社会テーマに即した形で新技術を持って対応していきたいと考えております。
昨年は、金融決済システムが大きく変わり、例えば、スマホの決済アプリなどのように、簡単便利な仕組みが一気に普及しました。東京オリンピックまでに、この流れは大きなうねりとなり、これまでの現金中心の決済システムを揺るがす、大きなパラダイムシフトが起きていくことでしょう。
農業業界においてもこのICTなどの流れを取り込み「インターネット×農業」を通して「農業革命(AGRITECH)」が勃興しつつあると考えます。しかしながら、現在の農業者においては、これらの最新技術が十分に利活用できていない現実があります。本年、弊社は自身が得意とする分野をさらに先鋭化していくために、ICT技術を有する企業と多方面にわたり連携することで「新しい価値」を生み出して行きたいと考えています。
福島県沿岸部の震災復興支援においては、3年前から始まった福島県南相馬市小高区の農業者の皆様との取り組みが拡大しています。スタート当初9haだった規模が、本年は約30ha規模まで成長し、連携する皆様の前向きでポジティブな姿に、日本の農業再生のあり方そのものであると感じ、強く感銘しました。
福島県浪江町においても、吉田町長の新体制となりましたが浪江町との包括連携協定の元、営農再開ビジョン立案において地元13地区における復興組合との話し合いを進めております。農業者のみならず、地元農業関係団体の皆様ともさらに深い関係を築いていければと考えています。我々は「復興ファースト」を旨とし、しっかりと地元の震災復興に寄与できるよう鋭意努力して参ります。
また、弊社は昨年の新年のご挨拶にもありました「三方良し」をさらに進化させ、従業員も含めた「四方良し」(地域、取引先、従業員、そして自社)を進めていきます。我々は社是である「会社が良くなれば社員が良くなり、社員が良くなれば会社が良くなる仕組みづくり」を旗印に、従業員の待遇改善の取組みを進めてきました。アイリスオーヤマ(株)大山健太郎会長のご指導のもと、我々舞台ファームグループも同様に大家族主義を貫き、会社に関わる全員と家族がなお一層幸せになれる仕組みを創って参ります。
我々は今年のテーマとして、「元気・感動・繋がり」を掲げ、従業員全員が「常に明るさ」をもってポジティブに行動していく、舞台ファームグループの哲学を突き詰めていきます。
我々は7年9ヶ月前の東日本大震災において甚大な被害を受け、危機的ダメージの中、皆様に多大なるご支援いただくことで復活を遂げました。その中で、「農業経営者の思考ロジックを根本から変えなければ、さらなる発展はない」と確信を持つに至りました。我々は、多くのステークホルダーの皆様の指針となるべく、農業連携をもって「新時代の農業経営モデル」を突き詰めて参ります。
本年一年もご指導ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げます。
株式会社舞台ファーム
代表取締役社長 針生 信夫