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2020年 年始挨拶
新年あけましておめでとうございます。
昨年中は、弊社へ多大なるご支援を賜り誠にありがとうございました。
本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
新年を迎えるにあたり、抱負を述べさせていただきたく存じます。
令和元年となった昨年は、激動の年となりました。自然災害が数多く発生し、特に台風15号、19号では、東北・関東に大きな被害が発生いたしました。改めて甚大な被害を受けられた皆さまに対し心よりお見舞いを申し上げます。また、社会面においては、消費税の増税ということで、食品業界は8%ではあるもの少なからぬ影響を受けていると改めて感じております。
弊社では毎年スローガンを定め社内の忘年会で発表しております。2019年は「元気・感動・繋がり!」でしたが、本年2020年は「果敢に挑戦し、”新プロオーシャン”を目指す!」をスローガンといたしました。
「”新プロオーシャン”を目指す!」には、どのような意味が込められているのでしょうか。
経営戦略論の言葉として、「レッドオーシャン」「ブルーオーシャン」というものがあります。レッドオーシャンは「競合相手のいる激しい既存の市場」、ブルーオーシャンは「競合相手のいない市場」と認識されております。
したがって、ブルーオーシャンを目指せ、ということが各社の戦略になっていくわけですが、今後、A Iをはじめとした自動化、あらゆる社会インフラが変化していく中で、果たして「ブルーオーシャン」というものが、そもそも消滅しつつあるのではないか、と思えてなりません。果たして「競合のいない大海」を見つけることが可能なのか、または、見つけたとしてもすぐにレッドオーシャン化していくのではないか、と思うのです。
したがって、私たちは、ブルーオーシャンの先にある、極めて高い専門性を持った我々だけにしか辿り着けない「プロオーシャン」を見つけていく必要があるのではないか、と考えるに至りました。この「プロオーシャン」においてこそ、我々だけにしかできない、社会に大いに寄与できるビジネスの仕組みが、一遇のチャンスとして生まれてくるのではないか、と考えています。
この「プロオーシャン」を見つけ出すためには、近未来を予測する「予測力」がとても大切であると感じます。よく「10年ひと昔」とは申しますけれども、スピードが加速度的に早まる近年においては、今や「3年ひと昔」と言っても過言ではない気が致します。常に新しいやり方を模索し、泥臭く愚直に挑戦を繰り返しながら、1年先、3年先、5年先、それぞれを自分たちの尺度で、自分たち独自のやり方で、しっかりと見据えていく必要があると強く思います。言い方を変えれば、「過去の延長線上に未来はない」ということであります。
「ソサエティ5.0」という概念があります。これは、日本国が提唱する未来社会のコンセプトです。過去「狩猟社会(Society1.0)」「農耕社会(Society2.0)」「工業社会(Society3.0)」「情報社会(Society4.0)」と様々な革命を起こしながら、人間は新しい社会を形成してきました。さらにそこから、デジタル革命によって新たな社会(Society5.0)が産まれようとしている、というものです。
「過去の延長線上に未来はない」と先ほど述べさせていただきましたが、私は「どこかでプリズムをかけて、つまり考えを変化させてから、物事を見ていかなければ、未来は予測できないのではないか」と考えます。私は、その”プリズム”こそが、「ソサエティ5.0」に他ならないと考えます。
農耕社会はソサエティ2.0と規定されていますが、現代社会の農業は、この農耕社会(Society2.0)から進化したのでしょうか。私は、根本的なものは「全く進化していない」と考えております。確かに機械化や効率化が進み、新強い品種が出てきているなどの事実は、間違いないものであります。しかしながら、米や野菜などの植物のいわゆる生育スピードが早くなったのか、また、植物の窒素・リン酸・カリを中心とする必要栄養素が変わったのか、といえば、根本的なことは大きくは変わっていないように感じます。
農業の根本が2.0のまま変わらない中、しかし、社会は大きく変革しようとしています。例えば、「週休3日」も、これから近い将来実際に起こりうるものでしょう。米や野菜の生育スピードが変わらない中で、週休3日のように従業員の働く時間だけが抑制されるようになればどうなってしまうのでしょうか。やはり、従業員を安定して安心して働いていただく環境を生み出すために、新しい仕組みを考え、生産性を向上し、利益を生み出す方法を、一生懸命考えていかなければならないのです。
また、A Iが人類の持つ頭脳を超えるポイントを「技術的特異点(シンギュラリティ)」といいますが、「これも2040年代になったら起こるのでは?」言われておりますけれども、昨今のIoTやA Iの技術進化を見ていますと、これがどんどん早まってきているように感じます。もしかすると、早ければ2020年代にシンギュラリティが来るのではないでしょうか。シンギュラリティの発生の後、ソサエティ5.0も一気に加速し、社会がこれまで我々が経験したことのない状況になっていくのではないでしょうか。
本年、私たち舞台ファームは、近未来で起こりうる、そのような人類が経験したことのないような激動の時代に対応していくため、これまで温めてきた様々なアイデアを具現化させる取り組みに、果敢に取り組んでいきたいと考えております。
まずは、物流ロジスティクスの新しい形を模索していきます。これは昨年から申請を進めており、今年3月には立ち上がる予定となっておりますが、物流の緑ナンバー取得による新たな事業化を行ないます。
本件につきましては、連携している農業者の皆さまからの強いご要望を受けて実現するものであります。弊社は10トン車をはじめ、既に10台の冷蔵車を保有しています。東北自動車道や常磐自動車道などの大動脈を使い、東北と関東の産地・消費を連結させていくことが可能となっています。一生懸命、農業者が効率化して農作物を作っても、結局、物流経費がかかってしまうのでは、大きなロスとなってしまいます。少しでも弊社物流をご活用いただくことにより、生産者と消費者、双方にメリットのある仕組みを構築していきたいと考えています。
次に、BtoBにおける顧客ニーズへの対応を進めていきます。少子高齢化の影響が大きくなってきている中、美味しくて安心安全、そして安定数量出荷ということは、当たり前の時代になってきています。ここからさらに、圧倒的に先に行くような差別化商品を、お客様にご提供できるよう新企画を進めていきます。
最後に、福島をはじめとした震災からの復興への支援であります。弊社では、当初より福島県沿岸部において農業活動を中心として様々な活動を展開してきました。昨年は福島県浪江町を本拠とし、コメの生産や流通を担う関連会社、「福島舞台ファーム(株)」を立ち上げたほか、福島県双葉町と農業の包括連携協定を締結し、地元農業者と座談会などを通じ営農再開ビジョンの立案に参画させていただくなど、新しい取り組みを拡大してきました。
今年発生した台風15号、19号の甚大な被害においては、東日本大震災で弊社が受けた致命的なダメージを思い出し、農業者の皆様の立ち上がる意志に大きく共感いたしました。やはり今後の農業においては、「復興」ということだけを目的にするのではなく、未来を見据えて、新しい仕組みを加えた形にしていかなければならないと考えております。せっかくの復興補助金を、単純に以前と同じ状況に戻すだけに活用するのであれば、非常に勿体ない。
例えば、今回の台風では、風速40mに耐えうると当初設計された電柱が多数倒れてしまいました。このような過去考えられなかったほどの強風が、今後数十年の間に東北でも起こりうるのではないか、そのような想定も大切ではないかと考えます。
私たちは福島県沿岸部の取り組みを、「復興ではなく”新興”へ」として進めております。地元自治体や農業者の皆さまにも、このコンセプトにご共鳴いただき、産業を「新しく興す」ことを目指して地域一丸となって取り組んでいます。本年は、浪江町において約30haを超える農地を地元の方と連携しながら再耕作することとなります。最新鋭のスマート農業的観点も入れながら、数年先を見据えた米作の有り方を、地元企業の一つとして地域の皆さまと連携し、ともに進めていきます。
私たち舞台ファームは、日本農業の発展に寄与すべく、本年も泥臭くも果敢に挑戦して参りますので、引き続きご指導ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げます。
本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
株式会社舞台ファーム
代表取締役社長 針生 信夫