代表メッセージ

2021年 年始挨拶

2021年01月01日

新年あけましておめでとうございます。

昨年中は弊社へ多大なるご支援を賜り誠にありがとうございました。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。新年を迎えるにあたり、抱負を述べさせていただきたく存じます。

さて、ご承知の通り、昨年2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、日本、そして世界が大きく揺らいだ一年となりました。このウイルスの脅威は、まだまだ継続的であり底知れない暗い不安感に世界は包まれている状況であります。また、昨年も梅雨時期に温暖化の影響と思われる豪雨が各地で頻発し、農業においては大きなダメージを受けました。野菜類が異常な高値をつけたかと思えば、数ヶ月後には価格がつかないほどの安値を記録するなど、新型コロナと気象リスクが顕著に出た一年だったと思います。一方では、2020年の農林業センサスでも明らかになりましたが、日本の少子高齢化・労働人口の減少に伴う形で農業者の担い手不足がさらに加速化しております。

このように我々は、多くのリスク・課題にさらされており、そしてそれが拡大しておりますが、「それらの課題を曖昧にしてはいけない」と考えております。霧で包まれたかのような見えない未来を明るく照らしていくためにも、舞台ファームグループは、さまざまな課題に正面から立ち向かっていきます。

2021年、これらの課題を解決していくため、株式会社舞台ファームは大きく変化します。これまでベースとしてきた農業生産法人から脱却し、舞台ファームの領域を農業だけではなく変化・拡大させていきます。私たちのメインポリシーだった「赤ちゃんが食べても安心・安全な野菜・お米をご提供する」を「未来の美味しいを創る。」へ新たに変更し、さらにレタスマークでお馴染みだった私たちのロゴ自体も変更いたしました。ポリシーやロゴの変更は、「安心・安全・安定」の商品ご提供は今や当たり前のベースでありそこからさらに先にある「未来」のステージ(舞台)を創っていきたいという気持ちを体現しています。私たちは、生産・加工・流通の枠をも超越し一歩先の新しい価値を見つけていきたいと考えます。先ほど申し上げた様々な課題に打ち勝っていくために、2021年、SDGsを基本的価値観としながら様々なテクノロジーを駆使し、これまで実施してきた「アグリソリューション」(日本農業の課題解決事業)のフィールドを、全国そして世界へと展開していきます。

舞台ファームグループの事業において、2021年、重要と考える3点のポイントをお話し申し上げます。

(1)美里町大型水耕プラント(次世代型植物工場)

2020年6月に宮城県美里町と包括連携協定を締結し、現在建築中の日本最大級のレタス植物工場「美里町大型水耕栽培プラント」に関しては、総額約34億円を投資しておりますが、このプロジェクトは、次なる農業の価値を創造する上で、非常に重要なものと考えております。基幹システムとなる弊社オリジナルの「Butai Moving System(BMS)」は、露地栽培の約80倍の生産性を有し、担い手不足や気象リスクなどの課題をクリアしていく上で圧倒的なインパクトを有しています。また、テクノロジー的な観点だけではなく、美里町の法人化支援など過去培ってきた地域連携をさらに加速していくため、地元からの労働力のご提供や様々な農作物の産地化の促進等、地域牽引型のソリューションも提供していきたいと思っております。来年の夏頃に本格的な生産ができるよう只今多くの方のご協力をいただきながら進捗させています。

(2)福島県沿岸部の営農再開に向けた活動

2021年3月には、東日本大震災による津波や原子力被害から早10年となる節目を迎えます。舞台ファームも津波により農場が破壊され、備蓄した米が流出するなど甚大な被害を受けましたが、大変苦しい道のりではありましたが多くの皆様のご支援・ご協力のもと何とか立ち直ることが出来ました。その自らの苦しい経験から培った知見と実績を元に、福島県沿岸部での営農再開支援活動を展開、復興から先の新しい農業を目指す「新興」を提唱し、独自の農業復興モデルをご提案してきました。

福島県沿岸部においては、南相馬市における地元農業者との共同事業を皮切りに、浪江町での営農再開ビジョンへの参画・立案、カントリーエレベーターの設計・企画、東京農業大学と浪江町との連携事業、さらに現在は双葉町との営農再開ビジョンの立案と、弊社が参与する領域は年々拡大してきております。「ピンチはチャンス」。これはアイリスグループの大山健太郎会長がご自身の著書にて顕している言葉ですが、福島県沿岸部の農業についてはまさにこの言葉通りだと考えております。日本の農業は、昭和から続く仕組みが各所にて制度疲労を起こしています。福島県沿岸部においては震災や原子力災害により、土地利用型の課題先進地となってしまったが故に、逆にこの地域における新たな取り組みこそが、日本農業の未来を変えていくと信じております。

2020年に浪江町を拠点とする「福島舞台ファーム株式会社(代表取締役:志子田勇司)」を関連会社として立ち上げましたが、同年約30haの耕作を行い福島県の奨励品種である「天のつぶ」を無事に収穫しました。また東京農業大学との連携事業により「浪江復興米」としての商品化も行ない、道の駅で販売する様子がN H Kの全国ネットや世界に配信されるなど、大きな反響も出ております。来年も地域と連携しながら、約50haを想定し耕作面積を拡大させていきます。

(3)舞台ファームグループの自己変革の加速化

冒頭にもございました通り、2021年、舞台ファームは大きな変貌を遂げて参ります。新オフィスとして仙台市営地下鉄荒井駅そばに新たな拠点となる「インテリジェンス・ラボ」をオープンします。1月には「これが農業会社?」と思われるようなお洒落な雰囲気に改装し、新しいワークスタイルを体現したオフィスとする予定です。弊社社員がこれまでにない新しい発想を得ていくために、また優秀な人材が農業業界に参入いただきやすい環境づくりを作るために、働きやすい環境への改善も加速させていきます。なお、国際化が進む昨今においてお米の輸出などを皮切りに海外事業の展開も進めており、将来的にインテリジェンス・ラボにおいては英語を公用語とすることも検討しております。

また、2020年6月から参入した一般貨物自動車運送事業においては、巣ごもりニーズが高まる中、ただ単に商品を作れば良いということではなく、お客様の口に入る迄に如何に商品を新鮮に安全に届けていくか、物流自体も生産の一環だと考えたことからスタートしています。

最後に、これまで私の役職名を「代表取締役」から「代表取締役社長」へと変更することをお伝えしたいと思います。舞台ファームの変革とともに、私自身の役割も明確化させることで不退転の覚悟で課題解決に取り組んで参ります。

以上、私たち舞台ファームは、日本農業の更なる発展に寄与すべく、様々な課題に対して本年も果敢に挑戦して参りますので、引き続きご指導ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。

2021年1月1日
株式会社舞台ファーム
代表取締役社長 針生 信夫
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