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2022年 新年挨拶
新年あけましておめでとうございます。
昨年中は弊社へ多大なるご支援を賜り誠にありがとうございました。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。新年を迎えるにあたり、抱負を述べさせていただきます。
まず、昨年も大変な猛威を奮った新型コロナウイルスでありますが、オミクロン株の登場によりさらに予断を許さない状況が続いております。今後も引き続き、経済的には厳しい環境が続いていくことが予想され、またある意味、“コロナ共存社会“とも言えるような新たな社会習慣が定着し、そして継続していくものと考えています。在宅勤務やオンライン会議、それに伴う「おうち需要」など、消費動向の大きな変化とともに、お客様にとって本当に価値のある商品やこれまでに無いサービスなどを、私たちは積極的に創造していかなければなりません。
また、昨年は世界経済も大きく変化した年でもありました。特に、私たちにとって重要な食料においては、穀物や肉類をはじめ様々な商品が世界規模で価格が上昇し、将来的に“日本人が今までのような食料品を食べられなくなる時代が来るのではないか”と不安になってしまうような状況が進んでおります。地球温暖化による環境破壊と気象変動、また、2030年には約85億人に到達するといわれる人口増加により、食料をめぐる情勢は、さらに今後大きく変わっていくものと推測されます。
このような世界的な変革期の中、「未来の美味しいを創る。」を企業ミッションとして掲げる私たち舞台ファームは、「農業会社」から「食料供給会社」に進化し日本の国家国民への食料安定供給に微力ながら寄与していきたいと考えております。消費者の皆さんの大切な「ベース食料」として、「美味しい」だけではなく「安心・安全」で、さらに「安定的・持続的」な新しい食料そして新たな価値を創造していきます。
本年、私たち舞台ファームは2022年スローガンを「大義と道徳」と定めました。誰も経験したことのない混沌とした状況の中、大切になってくるのはやはり、この「大義と道徳」であると考えております。大義を以て新たな挑戦を行ない、道徳を以て物事を成し遂げていく。初心を忘れぬよう、書家に記していただいた「大義道徳」の書も、昨年竣工した「美里グリーンベース」にも掲げております。
2022年、舞台ファームグループは「持続可能な食と農」を目指し、引き続き積極的に挑戦し続けていきます。新年にあたり、大きく3つの事業についてお話しさせていただきます。
宮城県美里町にて総額約34億円を投じた日本最大級のレタス植物工場「美里グリーンベース」が昨年10月20日に竣工式を迎えました。これまでご支援いただきました皆様に心より御礼申し上げます。
改めて、美里グリーンベースの特徴を述べさせていただきます。
同工場ではSDGs的観点を重視しており、例えば植物工場で良く使用されるスポンジではなく、土(ソイルブロック)で作る「舞台ハイブリッド土耕栽培(商標取得)」は、地球環境に優しくかつ野菜本来の美味しさを最大限引き出す新しい栽培方法として確立しています。
基幹システムとなる弊社オリジナルの「Butai Moving System(BMS)」は、播種から生育まで全自動でレタスの成長を管理する高い生産性を持ちながらも、余分な窒素や肥料を外に排出しないことから河川や海洋汚染にならない循環式の優れたシステムとなっています。
将来的な気候変動リスクや担い手不足リスクを回避し、また、テクノロジー的な観点だけではなく、地域の美里町の農業者の皆様のため、お米の事業や園芸作物などの産地化促進など地域牽引型のソリューションも提供しています。
お陰様で、3種のリーフレタスがまとまった「舞台ファームつみたてサラダ」の出荷を開始し、関東圏など取扱店舗も増え好評を博しております。
同商品は「生きた野菜をお届けする」をコンセプトとし、根がついた状態で商品をお届けさせていただくことから、お客さまはいつでも摘みたて、採れたてのレタスをお楽しみいただけます。
お客さまのキッチンをまさに畑に変えてしまう、「鮮度革命」という価値観を体現した商品であり、今後も販売を拡大していきたいと考えております。機会がございましたらぜひご賞味いただければ幸いに存じます。
現時点でオミクロン株の流行による制限により海外技術者の渡航が遅れているほか、施工過程における不具合の各種是正処置等により最終的な調整段階が続いておりますが、本件施設につきましては、改めて美里グリーンベース職員が一丸となり自らが施工管理を行ないながら、本格稼働に向けて進めています。
福島県沿岸部におきましては、2019年11月に浪江町に関連会社となる「福島舞台ファーム株式会社」を設立し、農業を中心とする新たな復興=「新興」ということで様々な取り組みを実施してきました。同エリアにおいてはご承知の通り、東日本大震災による津波や原子力被害における傷が癒えていないのが現状であります。
このような中で同エリアの営農再開に尽力させていただき、浪江町の耕作面積が約50haとなり連携農業者も含むと約100haほどの規模となりました。さらに昨年10月26日には、約300ha(倉庫利用で450ha)の面積のお米を乾燥調製できる「浪江町ラック式乾燥調製貯蔵施設」が竣工し、同設備の管理運営者として舞台ファームがプロポーザル契約を締結するなど、今年以降の営農再開に弾みとなる大変喜ばしいこともありました。
これらの取り組みを通じ、昨年11月3日には、浪江町の営農再開に尽力したとして「復興功労表彰」を授与いただきました。これまで浪江町役場の皆様や地元農業者の皆様と様々なお取り組みをさせていただきましたことを思い出し、涙が出るくらい嬉しく思いますのと同時に、今後ともさらなる営農再開、地域農業の発展に寄与すべく、粉骨砕身、鋭意努力していきたいと改めて気を引き締めております。
また、昨年11月に南相馬市とも農業に関する包括連携協定を締結し、農業者の担い手育成や産地化促進、スマート農業や新たな園芸施設の取り組みなどを通じて、地域農業の発展のために、官民で力を合わせて取り組むこととなりました。
南相馬市小高区においては、5年ほど前より地元農業者と連携しパックライスを生産するなど、地域との関わり合いが深いエリアでもあり、復興をさらに加速化させるべく、しっかりと取り組んで参りたいと考えております。
昨年1月、仙台市営地下鉄荒井駅そばに「インテリジェンス・ラボ」をオープン致しておりますが、同拠点が徐々に力を発揮し始めました。同拠点は新しいアイデアや自由な発想を起こしていくことためIT企業のようなお洒落な雰囲気のオフィス形態となっており数名の社員が勤務しております。
このインテリジェンス・ラボは、まさに「弊社の頭脳」とも言える存在であり、時に戦略や施策の検討集団、時に各部門の伴奏型組織として、インテリジェンス・ラボが全グループ横断的に柔軟かつスピーディに機能する仕組みを構築いたしました。
このような組織体制のもと、数字の見える化や管理会計の精度UP、さらにはRPAやOCRなどDXの取り組みを加速させております。
私たち舞台ファームは、アグリソリューション(農業課題の解決)のため、これまで農業者の皆さまとともに法人化支援や経営指導、栽培指導などの「実践型農業コンサルティング」を進めてきました。弊社自らを実験体とするようなインテリジェンス・ラボの取り組みのトライアンドエラーは、まさに今後この実戦型農業コンサルティングに生きていくものと考えております。LFP(ローカルフードプロジェクト)のような、地域で連続的にイノベーションを加速させる仕組みが整う中で、地域は持続的な発展を実現できるような創造的なアイデアを求めています。
例えば、以前より実践型農業コンサルティングとして地域農業者の法人化支援や産地化推進などを実施してきた、当社美里グリーンベースを置く宮城県美里町では、昨年より輸出米の取り組みが一気に拡大いたしました。地域農事組合法人と提携しプロジェクトチームを設立、幾度か勉強会を実施しながらSDGsに配慮した農法で実需者の求めるニーズを実現し、結果として香港にお米を輸出する取り組みに大きな成果を挙げることができました。こちらも弊社インテリジェンス・ラボのメンバーの尽力によるものであります。
当社の様々な取り組みを一気にアクセラレートする「インテリジェンス・ラボ」。
私たちが見据える10年後に向けて、挑戦や取り組みをどんどん加速化させていきたいと考えております。
最後になりますが、この度「食の6次産業化プロデューサー」(愛称「食Pro.」)の最上位となるレベル6に認定されました。
食Pro.は「6次産業化を担う人材の認定・育成する」ことを目的としており、認定者は全国に5,628人(2021年12月現在)いらっしゃいます。最上ランクとなるレベル6は私を含めこの内2名のみということですので、大変身の引き締まる思いであります。
改めて、本年も、日本農業の、そして食産業全体の「持続的な発展」に寄与すべく、私たちは果敢に様々なチャレンジをして参りますので、引き続きご指導とご鞭撻を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
2022年1月1日
株式会社舞台ファーム
代表取締役社長 針生 信夫