代表メッセージ

代表メッセージ

2025年新年挨拶

2025年01月01日

新年明けましておめでとうございます。

旧年中は弊社に多大なるご支援を賜り、誠にありがとうございました。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。新年を迎えるにあたり、ご挨拶と抱負を述べさせていただきます。

昨年のご挨拶でも触れたロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、いまだ終結の兆しが見えず、混迷の状況が続いております。さらに、中国経済の低迷も加わり、世界全体が不安定な時代を迎えています。そのような中、昨年11月にアメリカでトランプ大統領の就任が決定したことは、混乱を打破するための「強いリーダーシップ」を求める時代の象徴と感じられます。 

日本国内に目を向けると、2024年は円安の進行が国民生活に大きな影響を与えました。2022年初頭には1ドル110円だった為替相場が、7月には一時160円台まで進行し、現在も150円台で推移していることから「このまま200円台に突入するのではないか」との報道も一部では見られる状況です。円安の影響は、企業物価の高騰を皮切りに食品を含む消費者物価の上昇へと波及し、結果として30年続いたデフレに終止符を打つ形となりました。

このような大きな時代のうねりの中で、社会情勢がどう変化しようとも、企業が安定成長を続けるためには、堅実かつ柔軟な経営ポートフォリオを構築する必要性を改めて感じております。そのためにも、既存事業の「最適化」にとどまらず、未来を見据えた「投資」を同時に進める「両利きの経営」を、本年も力強く推進してまいります。

さて、本年最初のトピックは新事業についてお話したいと思います。

弊社は昨年、新たに「グリーンエナジー事業」を立ち上げました。私はこれを、「持続可能な食料生産を実現するためのエネルギー事業」と位置付けており、農業会社舞台ファームが次世代の食糧とエネルギーの生産を実現する長期構想の第一歩目と考えております。

食糧とエネルギーは安全保障と深く結びついており、国民生活に密接に関わる最重要の課題であります。私たちは、この課題に対して農業会社という立場から「持続可能な農業」を追求し、実行してまいりました。「美里グリーンベース」を始め、大規模な農業生産には同時に大量のエネルギーを消費することを痛感し、持続可能な食糧供給には持続可能なエネルギー生産と同時並行で進めなくてはならない、との考えに至りました。私自らも約5年間研究を重ね、昨年「グリーンエナジー事業」という新たな事業部の設立に至った次第です。

「グリーンエナジー事業」は大きく2つの柱から成り立っています。
第一は、「営農型ソーラーシェアリング」を活用した発電システムの全国展開です。この取り組みでは、お米や野菜を栽培しながら、その農地の3.5メートル上空にソーラーパネルを設置してエネルギーを生み出します。これまでの実証データにより、生産への影響を限定的にする方法を確立したうえで、今年を「ソーラーシェアリング元年」と位置付け、大規模な推進を図ります。さらに、蓄電池をセットにしたモデルの構築を進め、多くの企業と連携しながら、日本の再生可能エネルギー比率の向上にも寄与してまいります。 

第二に、再生可能エネルギー利用型ボイラーの導入です。現状では化石燃料に頼る暖房設備が主流ですが、私たちは再生可能エネルギーを活用し、環境負荷を軽減するとともにコスト削減にも繋げるモデルを模索しています。
これら事業を通じて、農業者同士が互いに疲弊することなく、新たな収益モデルを構築し、儲かる農業を生み出し、日本の食糧生産の拡大に貢献できるよう努めてまいります。

※農林水産省「営農型太陽光発電について」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/einou.html
より抜粋:

昨年4月に施行された「トラックドライバーの時間外労働960時間上限規制および改正改善基準告示」により、物流業界では輸送能力不足が懸念される、いわゆる「物流2024年問題」が話題となりました。この問題では労働時間の短縮に伴う輸送力の低下が発生しており、弊社でも抜本的な見直しを迫られる状況に直面しました。

舞台ファームではこれまで主に自社の物流部門で対応してきましたが、荷量の増加に伴い、昨年9月から物流体制の見直しを進め、外部配送業者3社とのパートナーシップを強化することで輸送便数を増やし、安定した輸送を実現しました。
さらに、昨年5月には「グリーンステーション境(以下:GS境)」を稼働開始し、東北から関東、中京エリアまでをカバーする物流戦略網を構築。2025年3月には埼玉県川越市に新たな物流拠点を設置する計画を進めており、関東エリアでの配送を2拠点体制とすることで、より効率的な物流網の整備を進めております。

このような取り組みにより、東北から関東、中京エリアに至る東日本・中日本全域をカバーする農産物のリレー体制をさらに強化し、実需者への農産品・食品の安定供給に努めてまいります。 

※画像:茨城県の物流拠点「グリーンステーション境」の落成式の様子(2024年5月)

さて、令和6年度は、米価の高騰が大きな話題となりました。気候変動により栽培方法の変化が求められる中で、舞台ファームグループの米生産を担う「福島舞台ファーム株式会社」は、高温や倒伏への耐性に優れた新品種「にじのきらめき」を作付けし、実需者への安定供給を維持してまいりました。(※「にじのきらめき」は2018年に農研機構が開発した品種)

また、同社は農研機構の許諾を受け、「にじのきらめき」と「つきあかり」の種籾の生産および販売も手掛けています。福島県浪江町にある弊社管理運営のラック式カントリーエレベーター(CE)を活用し、最大450ヘクタール分の種籾を適切に管理する体制を整備しました。おかげさまで昨年は多くのお引き合いをいただき、種籾は完売となりました。

今後、栽培に適した品種への転換は、さらに進んでいくと考えております。本年は、より多くの農業者の皆様に安定した品質の種籾をお届けするため、大量生産体制の整備を引き続き進め、全国の農家の皆様への供給体制を強化してまいります。

舞台ファームの毎年の恒例行事である忘年会は、全社員をご招待する形で執り行っております。忘年会ではなく次年度を望む「望年会」と称しており、次年度の経営テーマを発表する場を設けています。2025年の経営テーマは 「グリーンエナジー事業起動で3歩先ゆく農業生産革命を共に創ってまいりましょう! 」とし、未来に向けた挑戦を加速させる意気込みを社員一同で共有しました。

このテーマには、前述した通り「農業と再生可能エネルギーの融合」という大きなビジョンが込められています。「ロボットが人々の食料を生産する」・「そのロボットを稼働させるエネルギー(電力)を供給する」という二段構えの食糧生産事業モデルを見込んでおり、これにより、農業生産の効率化とエネルギーの自給自足を実現し、持続可能な社会に貢献する計画です。

しかし、この大きな目標を達成するためには、まず基盤となる社員一人ひとりのエネルギー=情熱(パッション)を最大化させる仕組みを整えることが不可欠です。現在、200名を超える社員が所属する舞台ファームグループでは、社員が働きやすく意欲的に取り組める組織作りを進めています。評価システムや福利厚生、休日制度の見直しを含め、時代に即した形での改善を進めることで、全社員のエネルギーを増幅させ、多様な人材によるシナジーを生み出し、新たな事業構想の礎を築きたいと考えています。

さて、2024年は、セブン& アイ・ホールディングス様のテレビCMやTBSテレビ「マツコの知らない世界」、NHK「うまいッ!!」など、弊社の取り組みをご紹介いただき、大きな注目を集めた1年となりました。これらの放映を通じ、多くの皆様からの温かい応援や激励を頂戴し、日本農業の課題解決への共感や期待の声を強く感じる機会となりました。皆様からの激励は、未来に向けてさらなる努力を重ねる原動力となっております。

特に、竣工から3年を迎えた日本最大級の植物工場「美里グリーンベース」では、建設段階での地震被害や生育不良といった課題を乗り越え、完全稼働を達成しました。そして、昨年10月27日には初の工場祭「レタス祭り2024」を開催し、本工場の建設や運営に携わってくださった皆様、また日頃より支えてくださる地域の皆様への感謝の意をお伝えし、成果を共有する場を設けることができました。

舞台ファームは、これからも一農業者としての立場を大切にしながら、日本の食糧生産・供給の未来を見据えた挑戦を続けてまいります。同じ課題に取り組む事業者の皆様、農家の皆様、自治体の皆様と”共に”「舞台の未来」を描き、日本農業の課題解決と発展に微力ながら貢献する所存です。また、社員一人ひとりが熱意を持って日々の業務に取り組み、その情熱をチーム全体で増幅させることで、企業としての力をさらに高めてまいります。

今後とも、関係各所の皆様、地域の皆様、そして多くのご支援をいただいている方々のご協力を賜りながら、より良い未来への挑戦を続けてまいります。引き続きご指導、ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

2025年1月1日
株式会社舞台ファーム
代表取締役社長 針生 信夫
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