代表メッセージ

代表メッセージ

2026年新年挨拶

2026年01月01日

新年あけましておめでとうございます。

旧年中は、弊社への格別のご理解とご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

新たな年を迎えるにあたり、皆様へのご挨拶とともに、舞台ファームが目指す方向性について述べさせていただきます。

昨年も世界情勢は不安定さを増し、物価高騰は私たちの生活や経済活動に大きな影響を及ぼしました。日本においても、エネルギー・資材・物流コストの上昇が続き、消費者物価指数は継続的な上昇局面にあります。

こうした環境下で象徴的な出来事となったのが、連日報道された米価高騰、いわゆる「令和の米騒動」です。これは様々な要因が複合的に重なった結果ではありますが、農業現場で長年積み上がってきた原価上昇が、価格に反映された結果でもあり、農業の構造的課題が顕在化した出来事であったと捉えています。

私が強く感じているのは、多くの農業者が依然として自らの「再生産原価」を正確に把握できていないという現実です。いわゆる“どんぶり勘定”のままでは、持続可能な経営はもちろん、消費者に納得いただける価格形成は成り立ちません。

本年は、生産者自らが原価を可視化し、再生産可能な「適正価格」について、社会全体で合意形成が進む重要な転換点になると考えています。

舞台ファームでは、農場部門においても工場と同様の管理会計手法を導入し、毎週の生産・コスト・収益状況を継続的にモニタリングする”52週経営”で、適正な原価管理と迅速な経営判断を実践してきました。

私たちは、効率性と品質の両立を前提とした農業モデルを追求し、原価を抑えながらも価値を正しく価格に反映させる仕組みづくりを通じて、日本農業の持続性に貢献してまいります。

「にじのきらめき」という解決策

「令和の米騒動」の最中、日本農業は深刻な構造的課題に直面しています。農業従事者の高齢化が急速に進み、平均年齢は約70歳に近い状況が続いており、農業経営体数はこの10年間で約55万団体、年間ではおよそ5〜6万団体が廃業しています。さらに今後数年間で担い手の離脱が加速すると予想されています。

このような環境下で、日本が必要とする年間700万トン強の米需要を、限られた生産者数で安定的に維持していくことは、従来の延長線上では極めて困難だと言わざるを得ません。
生産量を維持するために、単純に耕作面積を広げる方法には限界があります。労働力不足はコスト増加に加え、環境の負荷という課題があり、現実的な解決策とはなりにくいのが現状です。

そこで、私たちが具体的な解決策の一つとして注目しているのが、新品種「にじのきらめき」の普及・拡大です。本品種は、「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」と同等以上の食味を持ちながら、高温耐性・耐倒伏性に優れ、近年常態化する猛暑環境にも適応できる特性を備えています。さらに、同一面積あたりの収量は従来品種比で約1.2倍と、多収性にも優れており、生産効率の向上が期待できます。

耕作地を無理に広げるのではなく、「品種を変えるだけ」で生産性を高め、安定供給を実現する。このアプローチは、農業者の収益確保と、消費者が手に取りやすい価格帯の維持を高い次元で両立させる、極めて現実的な解決策であると確信しています。

舞台ファームでは、約5年前より「にじのきらめき」の作付を開始し、生産拡大に取り組んできました。昨年からは種籾生産を本格化させ、全国の農業者の皆様へ供給を進めています。ありがたいことに弊社の種籾は高い評価をいただき、現在は在庫も残りわずかとなっております。ご希望の方は、ぜひ弊社までご連絡ください。

↑「にじのきらめき」の種籾を生産する福島県浪江町の圃場(手前)と、弊社が管理運営する「南棚塩ラック式カントリーエレベーター」(奥)

「農エネ業」:相場に依存しない農業ソリューション

もう一つの重要な柱が、農業とエネルギーを融合させた「農エネ業」です。

私は以前より様々な場で申し上げてきましたが、農業生産の現場は今後10年で、その作業工程の7〜8割が自動化・ロボット化していくと考えています。その際、栽培を担うロボットを動かす原動力となる「電気=エネルギー」は、避けて通れない生産コストであり、同時に最大のボトルネックにもなります。

この課題は、机上の空論ではありません。私たちは、「美里グリーンベース」をはじめとするスマート農業の実践を通じて、作業の約90%を自動化するまでに至りました。その結果、人件費の大幅な効率化を実現する一方で、代わりに大きなエネルギーコストを必要とする現実を、現場で強く実感しています。

昨年7月、東京・八重洲での記者会見にて発表した「オープンプラットフォーム構想」では、農業×エネルギー=農エネ業を事業の中心に据え、当社が培ってきた農業の知見と、他産業の技術・ノウハウを融合させる方針を明確に打ち出しました。その第一弾として、本年3月には、美里グリーンベースに隣接する農地において、日本最大級となる営農型ソーラーシェアリング設備(約3.9ha)が稼働予定となっています。さらに美里グリーンベースの電力を賄うだけではなく、地域農業者への電力供給も行います。

資材高騰や人件費の上昇により、農業経営単体での損益分岐点は年々厳しさを増しています。こうした中で、エネルギー事業を組み合わせることで経営基盤を安定させるモデルは、これからの農業における現実的な選択肢の一つになると考えています。

私たちが目指すのは、全国の農業者が横並びで「競争」するモデルではありません。共にイノベーションを起こし、生産コストを下げ、消費者への提供価格を引き下げ、供給を安定させていく「共創」のモデルです。

既に、日本各地の大規模農業法人からも本取り組みへの関心と連携の打診をいただいており、いわゆる“ライバル”と呼ばれる企業とも、提携を前提とした議論が進み始めています。本年は、「各県対抗」といった内向きな競争ではなく、日本の農業がアジア、そして世界の農業と伍して戦える産業となることを見据え、オールジャパンでの連携による農業ソリューションを生み出し、共に創り上げていく一年にしてまいります。

↑宮城県美里町に建設中の営農型ソーラー発電設備(上)、7月に発表した「オープンプラットフォーム構想」(下)

全国展開、自治体連携の拡大

これまで述べてきた「農業の構造的課題」を、実際に全国レベルで解決していくためには、それぞれの地域課題を最前線で把握している「地方自治体」が欠かせないと考えています。

舞台ファームでは、全国の農業者の取り組みを点ではなく面として広げていくため、各地の自治体との連携を積極的に進めてきました。その結果、確かな成果が生まれ始めています。

宮城県美里町における「美里グリーンベース」、福島県浪江町の「南棚塩ラック式カントリーエレベーター」、そして茨城県境町の「グリーンステーション境」など、現在弊社が拠点を構えている地域はいずれも、地域農業の将来を真剣に憂い、課題解決に向けて共に取り組む自治体担当者の皆様からの相談を起点に、数年単位で議論と実証を重ねた末に実現したものです。

その中でも最も直近の取組みが昨年5月に茨城県境町で竣工した「グリーンステーション境」です。この施設は、境町の農業者からお米や野菜を集荷・検査・保管するための戦略的な「農業集約拠点」となっています。

「グリーンステーション境」の竣工と併せ、橋本町長をはじめとする町役場の強力なバックアップのもと、新たに「境町グリーンカラー組合」も発足しました。現在は25名の地域農業を担う生産者の皆様と共に、単なる野菜とお米づくりにとどまらず、持続可能な経営の仕組みづくり、人材育成にも力を入れています。

農業ビジネスにおいて、「完成形」が存在するとは私たちは考えていません。地域性・市場環境・気候条件・コスト構造が刻々と変化します。

舞台ファームでも実際の事業運営において、数か月単位で事業方針や経営モデルを見直しアップデートを重ねています。現場で得られたデータと検証結果をもとに、柔軟かつ継続的に意思決定を行う——こうした改善の積み重ねこそが、地域ごとに異なる課題に対応できる実装には不可欠と感じます。

地域の中で農業が再び希望ある産業として位置づけられるよう、自治体や農業者の皆様と共に挑戦を続け、これからも実装し続けてまいります。

さらに、茨城県つくばみらい市においても、自治体との連携のもと、確かな成果が生まれています。

同市では、弊社の支援を受けた生産者が、「第27回 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」において金賞を受賞するという快挙を成し遂げました。
約5,000検体の中からわずか18検体しか選ばれない極めて狭き門を、「2年では達成は不可能」と言われた条件下で突破できたことは、関係者一同にとって大きな自信となりました。

この成果の背景には、遠藤五一顧問の指導のもと、土づくりを徹底的に見直し、基本を愚直に積み重ねてきた取り組みがあります。短期的な成果を追い求めるのではなく、圃場の状態を科学的に捉え、再現性のある技術として落とし込んだことが、結果につながりました。

この実績は、「おいしい米」の追求と、「安定・大量・低コスト生産」という、一見すると相反する要素が、決してトレードオフではないことを明確に証明するものです。

私たちは、食と農を支える企業として、これからも生産現場に真摯に向き合いながら、「おいしさ」を起点とした農業の価値向上に挑戦し続けてまいります。

↑「第27回 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」授賞式の様子

未来戦略:「コンビニ型農業」とDX推進

私たちは今、次のステージとして、農業DXとグローバル視点での進化に本格的に挑んでいます。本年2月には、ヨーロッパ最大級の農業展示会を、役員・社員とともに視察する予定です。

施設園芸やスマート農業を中心としたオランダ型の施設モデルに学びつつも、近年は「地域全体を一つのエコシステムとして捉える農業モデル」へと、世界的な潮流が変化していることを強く感じています。私たちは、過去の延長線上ではなく、「未来の扉」を開くための投資と挑戦を続けてまいります。

その象徴が、「コンビニ型農業」という新たなモデルです。
50ヘクタール規模の農業法人を4つ束ね、200ヘクタール単位でライスセンターを配置するモジュール(ユニット)型の高効率な運営体制を構築し、自治体ごとの特性に応じた連携展開を狙っています。

農業版デューデリジェンスを実施し、その地域の5年後・10年後を見据えた経営リスクを可視化した上で、再生プランを提示することで、地域農業の持続可能性を高めていく取り組みです。

また、舞台ファームは2023年の受賞に続き、2025年も「東北DX大賞」の最優秀賞を受賞しました。データを統合するソフトウェアと、現場を改善しながら稼働するロボティクスを融合させることで、食料の安定供給という社会課題に真正面から向き合う力を、着実に高めてきたと感じています。

私の座右の銘「蒔かぬ種は生えぬ」は、

自らの人生や事業において、種を蒔かなければ、何も生まれず何も変わらない。挑戦なくして、変化やイノベーションは起こらない——その信念のもと、舞台ファームはこれまで挑戦を重ねてきました。その一つひとつが、今、確かな地力となり、技術や人材、組織としての厚みにつながっています。

本年は、これらの取り組みを構想にとどめることなく、より多くの農業現場へと実装していく一年とします。舞台ファームは、農業の現場に根差しながら、変化を恐れず、挑戦を続け、日本の食と農の未来を切り拓いてまいります。

本年も、関係各位の皆様、地域の皆様、そして日頃より支えてくださる多くの方々と”共に”歩みを進めてまいります。

引き続きご指導、ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

2026年1月1日
株式会社舞台ファーム
代表取締役社長 針生 信夫

↑「東北DX大賞2025」授賞式の様子。弊社DXチームが牽引し、23年以来の受賞となった。

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